3月8日、原発事故で福島から避難し東京・江東区の国家公務員宿舎に住んでいる避難者宅に、いきなり東京地方裁判所の執行官6人が訪れ、「原告の福島県が明け渡しの強制執行の申し立てをしたから、1か月以内に荷物をまとめて出て行くように。さもなければ強制執行する」と宣告しました。
しかし、福島県が2020年、国家公務員宿舎からの退去を求め提訴した裁判は終わっていません。現在、最高裁に上告手続き中です。
避難者は、17年3月、県が住宅無償提供を打ち切った後も、行き場を失ない住み続けざるを得なかった母子避難世帯。非正規で働き、「公営住宅(有償)なら何とか生活していける」と都営住宅入居を求めたが、費用負担が無理な民間賃貸住宅しか紹介されませんでした。
区域外避難者(「自主避難」者)は日本政府も認めた国際人権法上の「国内避難民」だが、提訴は国際人権法が保障する居住権を侵害するものでした。22年秋、国連人権理事会から派遣され来日したヒメネス=ダマリー特別報告者は、この提訴について「賛成できない。避難者への人権侵害になりかねない」と異例のコメントを出し、警鐘を鳴らしています。
近年、最高裁も国際人権法に敏感とならざるをえず、この裁判も国際法に基づき逆転する可能性があります。強制執行措置は、避難者の切実な訴え(裁判の争点)を力づくで抑え、まともな審理から逃げるものであり、到底許すことはできません。
国際人権法は、「国内避難民」に明け渡しを求めるためには「代替措置の誠実な提供」を条件にしています。国際基準に従って、福島県は今すぐ強制執行の申し立てを取り下げ、現状を真摯にヒアリングし、「代替措置の誠実な提供」がどうすれば可能か、検討すべきです。
下記、「ストップ!強制執行」オンライン署名にご協力をお願いします。
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